下顎(したあご)に20?26対の円錐形の歯を有する。それぞれの歯は約1kgもの重量を持っている。ヤリイカやダイオウイカなど食性の95%はイカ類であり、スケソウダラやメヌケを含む魚類はわずか 5%に過ぎないといわれるが、丸呑みが可能なイカ類を食べるために歯は不要と考えられており、本種が歯を備えている理由ははっきりとは分かっていない。歯を持たないにもかかわらず健康に太った野生の個体も、実際に観察されている。現在では、同種のオス同士で争う際に歯が使用されるのではないかと考えられている。この仮説は、歯が円錐形で広い間隔を空けて配置されている理由も説明できる。上顎の中にも未発達の歯が存在するが、口腔内まで出てくることはまれである。似た食性を持つハナゴンドウが、マッコウクジラと同じく下顎にのみ歯が有していることに、紐解くべき糸口があるかもしれない(この種はマイルカ科に属すが、多くの部分でマッコウクジラと酷似している)。 近年の研究により、子を海面に残したまま深海へ獲物を獲りにいった親が、捕らえた獲物を子の餌としてくわえたまま持ち帰る姿が確認されている。映像に収められているものはダイオウイカで、一匹丸ごとではなく、一部だけを持ち帰ってきた。これにより、歯の存在理由が獲物をかみ切ること、深海から海面へ運ぶときの滑り止めなどとしての仮説も出てきた。
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子育て [編集]
本種は家族の絆がとても強い。子は生まれてすぐには深海に潜ることができない。母親は子が深海へ潜ることができるようにするため、しばしば訓練をするが、子がなかなか潜ろうとしない場合は母乳を飲ませながら潜る。最近の研究では頻繁に深海と海面を行き来することが分かっている。
また、その生涯の3分の2を深海で過ごす。軽く2,000mは潜ることができ、集団で狩りをすると考えられている。光の届かない深海においてはイルカ等に代表される反響定位(エコーロケーション)を用いている。家族同士での会話にも音を利用していると考えられている。
本種の潜水能力はクジラの中で群を抜いている。ヒゲクジラ類の潜水深度は200- 300m程度とされるが、最近の研究によって、マッコウクジラの場合は、全身の筋肉に酸素を蓄えることが可能であるため 1時間もの間を呼吸することなく潜っていられることが明らかとなった。通常では、息継ぎをするために水面に上がるまでの20分ほどの間、約1,000m近くの深海に潜って捕食などの活動を行っていることが分かっている。 また、3,000mを潜ったとする記録もあり(長さの比較資料:1 E3 m)、深海層での原子力潜水艦との衝突事故や、海底ケーブルに引っかかって溺死したと見られる死骸の発見などの実例が、この記録を裏づける。マッコウクジラと衝突した原子力潜水艦がその船体を破損させることはないが、船がヨットや木造船であった場合には多大な損傷をこうむることが予想される。